今回は、生物のことはじめ。
生物とは何か?
を考える回です。
生物の分類の基本単位「種」
地球上にはさまざまな生物がいます。
ヒト、サル、ウマ、ニワトリ、ヘビ、カエル、メダカ、アリ、ヒトデ…
動物だけじゃなくて、植物も生物です。
私たちは、身の回りの生物を見た目の特徴や住む環境、食べるもの等で分類します。
いろいろな分類の仕方がありますが、生物学的に一番細かく分類したときのグループ、
それを種といいます。

種とは…
生物の分類の基本的な単位(=一番細かい分類のグループ)。
同じ種 = 見た目の特徴が一致していて、生殖能力をもつ子を残すことができる
と定義されています。
生物には共通性がある…!「進化」という考え方
ところで、生物を分類してみると、案外共通性があることが分かってきました。
例えば、
ヒト、オランウータン、ウマ
これらは、誰がどう見たって、違う生物に見えます。
見た目も大きさも、住む環境も、全然違います。
でも、よく注意して観察してみると、
これらはみな、赤ちゃんをお腹の中で育て、生まれたあとは母乳を与えるという特徴では一致しています。

このように、地球上の生物を見渡してみると、どの生物たちも少しずつ共通する部分を持ちながら、様々なバリエーションをもつように多様化していることが分かりました。
ここでひとつ、こんなことを考えてみましょう。
どうして、みんな共通する部分をもっているんだろう?
だって、もし生物が地球上のいたるところでポツポツと発生しているなら、
共通性が全くない、全っ然別ものになったっていいはずです。
なのにどうして、生物には共通性が見られるのでしょうか?
・・・一人の学者がこんなことを考えました。
生物はみな、ある共通の祖先から「進化」したんじゃないか?
祖先の特徴を受け継ぎつつ、少しずつ変化していって、多様な種に分かれていったのではないか?

これが、「ダーウィンの進化論」です。
残念なことに、当時はあまり受け入れられませんでした。
しかし、技術が発展して遺伝子研究などが発展してくると、
どうやらこの「進化」の考えが正しいようだぞ!となってきたのです。
今では、「進化」は生物学の基本的な考えのひとつになっています。
進化とは…
ダーウィンの進化論からはじまった考え方。
生物は、共通の祖先から長い年月をかけてさまざまな種に進化したと考えられている。
進化の道すじを表した図「系統樹」
生物は共通の祖先から「進化」してきたと考えられます。
そこで気になるのが、
どんなふうに枝分かれしてきたんだろう?
ということです。
世界の学者たちは、生物の見た目などの特徴を手がかりにして生物をさまざまにグループに分類し、類縁関係(近しさ)を推定してきました。

そうして考えられた進化の道筋を、分かりやすいように図で表したものが系統樹です。

昔は、見た目の特徴などを手がかりに系統樹が作成されました。
しかし、技術が発展するにしたがって、
見た目だけではなく、DNAやタンパク質を分子レベルで解析して、類縁関係を推定できるようになりました。
こうして分子レベルの情報で作られた系統樹は、分子系統樹と呼ばれます。
系統樹とは…
進化の道筋を、分かりやすく図にしたもの。
地球上の全ての ”生物” に共通する特徴
地球上には、本当に多様な、さまざまな特徴をもった生物がいます。
でも、どんな生物であっても、次の性質は必ずもっています。
<すべての生物に共通の特徴>
- 全ての生物は細胞からできている。
- エネルギー(ATP)を利用して、代謝を行う。
- 遺伝情報(DNA)をもち、自己増殖する。
これは、生物の祖先をどこまでさかのぼっても、みんな持っている性質です。
いいかえれば、このような性質を持たないものは、生物とはいえません。
(例:ウイルスは自己増殖しないので、生物ではないのです…!)
生物学をする上で、生物とは何か?を定義することはとても大切です。
すべての”生物”に共通する特徴をもっている=「生物」である
と言えるのです。
この考えは、これから生物学を学んでいく上で基本の考え方になるので、必ずおさえておきましょう!