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【高校生物】「遺伝的浮動」教科書解説!

遺伝的浮動 高校生物

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今回のキーワード:
遺伝子頻度、遺伝的浮動、びん首効果

自然界では、集団内における遺伝子頻度はさまざまな要因で変化していきます。
遺伝子頻度が変化する要因はさまざまですが、今回はその要因のひとつである「遺伝子頻度」について、分かりやすく解説していきます!

遺伝的浮動とは

もし仮に、遺伝子(形質)の違いが生存の有利・不利に影響を及ぼさず、交配も完全にランダムに行われるとしたら、どの遺伝子が選ばれて次世代に受け継がれるかは、完全にランダム(偶然)です。

この”偶然”さが、遺伝子頻度の変化をもたらすことがあります。このことを、遺伝的浮動といいます。

遺伝的浮動はなぜ起こるか?

では、遺伝的浮動の原理を詳しく見ていきましょう。

例えばここに、遺伝子Aと遺伝子aが50個ずつある遺伝子プールがあるとします。
この親世代の遺伝子プールから、ランダムに遺伝子を選び出して子世代の遺伝子プールを作り出す場合を考えます。

試しに、親世代の遺伝子プールから遺伝子を10個選ぶ試行を2回行ってみましょう。
すると、今回は”ランダム”に選んでいるので、例えば1回目の試行で「A×4個、a×6個」選らんでいたとしても2回目の試行でも同じようになるとは限らず、2回目は「A×7個、a×3個」になるかもしれません。

このように、遺伝子が偶然選ばれることにより、次世代の遺伝子頻度が変わる現象が遺伝的浮動なのです。

次世代の個体数が少ないほど、遺伝的浮動の影響は大きくなる(びん首効果)

遺伝的浮動は、偶然のはたらきにより次世代に受け継がれる遺伝子に偏りが生まれるために起こりますが、次世代の個体が少ないほどこの影響が大きくなっていきます。

例えば、遺伝子Aと遺伝子aが50%ずつあるプールから、ランダムに100個遺伝子を選ぶとき、100個すべてがAになる場合は滅多にありません。
しかし、2個だけ選ぶ場合なら、2個連続してAになることはかなりの確率であり得ますよね(確率1/4)。

このように、親世代の遺伝子プールから子世代の遺伝子プールを作るにあたって、子世代の個体数が少なければ少ないほど、遺伝子が偏る確率があがる(=遺伝的浮動の影響が大きくなる)のです。
これを「びん首効果」といいます。

遺伝的浮動と「隔離」

次世代の集団の個体数が少ないほど、遺伝的浮動の影響はおおきくなりますが、それでも他の集団との間で交流(遺伝子の流入や流出)があれば、偶然による偏りを薄めることができるので、遺伝的浮動は小さくなります。

ところが、何らかの要因で集団が他の集団から「隔離」されて、遺伝子の交流がなくなると、隔離された集団では遺伝子の偏りがそのまま集団全体の遺伝子頻度に大きく反映されるようになります。

「隔離」には、地形や気候の変化で生息地が分断される地理的隔離や、突然変異によって生殖器の形や生殖時期に変化が生じて生殖が行われなくなる生殖的隔離などがあります。

まとめ

  • 遺伝的浮動
    偶然のはたらきにより、遺伝子頻度が変わること。
  • びん首効果
    次世代の個体数が少ないほど、遺伝的浮動の影響が大きくなる。
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