今回のキーワード:
独立、連鎖(完全連鎖・不完全連鎖)、対立遺伝子、組換え価
「遺伝子の独立と連鎖とは何か?」
「独立している場合と連鎖している場合で、遺伝子の組み合わせの多様性はどのように変わるか?」
イラストを用いて分かりやすく説明しています!
遺伝子の独立と連鎖
複数の遺伝子に注目したとき、その遺伝子が別々の染色体に乗っている場合を独立、同じ染色体に乗っている場合を連鎖といいます。
例えば、遺伝子Aと遺伝子Bが別々の染色体上に存在していたら、「遺伝子Aと遺伝子Bは独立である」といえます。
また、遺伝子Aと遺伝子Cが1本の染色体上に存在していたら、「遺伝子Aと遺伝子Cは連鎖している」といいます。
遺伝子の組み合わせの変化
真核細胞の有性生殖では、減数分裂によって、さまざまな遺伝子の組み合わせの配偶子がつくられます。
これにより、生物は多様性を維持し、環境の変化にも適応して種の存続、そして進化をとげてきました。
ところで、ある2つの遺伝子があったとき、減数分裂でつくられた配偶子の遺伝子の組み合わせのバリエーションは、遺伝子が独立しているか、連鎖しているかでその様子が異なります。
それぞれの場合で見ていきましょう。
遺伝子が独立している場合
まず、遺伝子が独立している場合を考えてみましょう。(下図を参照)
遺伝子A(a)と遺伝子B(b)が図のように独立の場合、まず第一分裂でAB・abの組み合わせになるパターン(パターン1)と、Ab・aBの組み合わせになるパターン(パターン2)が考えられます。
そして、第二分裂を経てつくられる配偶子は、パターン1からはAB・AB・ab・ab、パターン2からはAb・Ab・aB・aBになります。
よって、遺伝子Aと遺伝子Bが独立の場合は、その個体から作られる配偶子全体における遺伝子の組み合わせの割合は、
AB:Ab:aB:ab=1:1:1:1
になります。
遺伝子が連鎖している場合
続いて、遺伝子が連鎖している場合です。
遺伝子が連鎖している場合、乗換えが起こる場合と、乗換えが起こらない場合が考えられます。(→染色体の乗換えについてはこちら)
特に、遺伝子どうしの距離が近いと、乗換えが起こりにくくなります。
完全連鎖
遺伝子どうしで乗換えが起こらない場合を、完全連鎖といいます。
遺伝子が完全連鎖しているときは、減数分裂を経ても遺伝子の組み合わせは変化しません。
例えば、遺伝子A(a)と遺伝子B(b)が図のように完全連鎖していた場合、作られる配偶子の遺伝子の組み合わせは親の相同染色体と同じで、
AB:ab=1:1
です。
不完全連鎖
一方、染色体の乗換えが起こる場合は不完全連鎖といい、減数分裂によってできる配偶子の遺伝子の組み合わせが多様になります。
例えば、遺伝子A(a)と遺伝子B(b)が図のように連鎖していて、遺伝子Aと遺伝子Bの間で乗換えが起こったとしましょう。
すると、減数分裂を経て作られる配偶子の遺伝子の組み合わせは、AB・abの他にAb・aBという組み合わせもできますね。
乗換えが起こった場合、配偶子の遺伝子の組み合わせの比率は
AB:Ab:aB:ab=1:1:1:1
になります。
組換え価とは
上で見たように、染色体の乗換えが起こると、新しい遺伝子の組み合わせが作られます。
このように、新しい遺伝子の組み合わせが作られることを、「遺伝子の組換え」といいます。
2つの遺伝子が連鎖しているとき、染色体の乗換え(=遺伝子の組換え)が起こる場合と、起こらない場合があり、通常、その起こりやすさは2つの遺伝子間で一定の割合になります。
この、「乗換え(=組換え)の起こりやすさ」を表した数値が、「組換え価」です。
組換え価は、「組換えが起こった配偶子の数」÷「すべての配偶子の数」×100 で計算できます。(つまり、組換えが起こった配偶子の割合ですね!)
\begin{array}{left}\color{red}{組替え価} \\ \quad = \frac{組替えが起こった配偶子の数}{全ての配偶子の数} \times 100\end{array}
まとめ
- 独立
注目している2つの遺伝子が、別々の染色体上に存在している場合 - 連鎖
注目している2つの遺伝子が、1本の染色体上に存在している場合- 完全連鎖・・・連鎖しているが、乗換えが起こらない場合
- 不完全連鎖・・・連鎖していて、乗換えが起こる場合
- 組換え価
染色体の乗換えによって、遺伝子の組換えが起こった配偶子の割合