今回のキーワード:
染色体、遺伝子座、対立遺伝子(顕性・潜性)、遺伝子型(ホモ接合体・ヘテロ接合体)、表現型
遺伝子と染色体の関係と、遺伝子に関する用語をイラストで分かりやすく説明しています。
遺伝子とは?染色体とは?
そもそも、遺伝子・染色体とは何か?をまず確認しておきましょう。
私たち生物は、さまざまなタンパク質によって生命活動を行っています。このタンパク質の設計図(=遺伝情報)はDNA上にコードされており、遺伝情報がコードされている部分を特に「遺伝子」と呼びます。
また、DNAは核の中でヒストンなどのタンパク質と一緒になり、「染色体」の形で存在しています。
不安な人は↓で復習しましょう!
遺伝子座
遺伝子はDNA上にコードされています。また、DNAは核内では染色体の形で存在しています。
つまり、「遺伝子は染色体上にある」とも言えますね!
遺伝子座とは、その遺伝子が染色体上のどこにあるか?を示したものです。
そして、同種の個体間であれば、ある特定の遺伝子の遺伝子座は個体によらず共通です。
(例えば、ヒトの赤血球を構成するタンパク質「β-グロビン」の遺伝子は、どの人のどの細胞でも、同じ染色体(第11染色体)の同じ場所に存在しています!)

対立遺伝子
とある遺伝子座に、異なる形質を表す複数種類の遺伝子がある場合、それらは対立遺伝子と呼ばれます。
例えば、”正常な赤血球の遺伝子”と”鎌状赤血球の遺伝子”は、染色体上の同じ位置に存在しますが、それぞれ”正常な赤血球”と”鎌状の赤血球”という異なる形質を表すので、これらは対立遺伝子です。

鎌状赤血球貧血症についてはこちら↓
顕性形質と潜性形質
ここで、”正常な赤血球の遺伝子”を遺伝子A、”鎌状赤血球の遺伝子”を遺伝子aとしましょう。
ところで人は、相同染色体をもつので同じ遺伝子を2つずつもちます。
よって、一人の人がもつ遺伝子の組合わせはAA・Aa・aaの3通りが考えられます。

では、それぞれの遺伝子の組合わせをもつ人の形質はどうなるでしょうか?
AAの組合わせをもつ人は正常な赤血球のみをもつので健康です。また、aaをもつ人は鎌状赤血球貧血症を発症します。
しかし、Aaの組合わせをもつ人は、鎌状赤血球貧血症を発症しません。
これは、鎌状赤血球の遺伝子をもっていても、正常な赤血球の遺伝子を合わせてもっていれば形質に影響が出ないからです。

このように、異なる対立遺伝子の組合わせになったとき、優先して現われる形質を「顕性形質」、顕性形質によって隠れてしまう形質を「潜性形質」といいます。
今回の例で言えば、”正常な赤血球”が顕性形質、”鎌状の赤血球”が潜性形質です。
顕性遺伝子と潜性遺伝子
対立遺伝子のうち、”正常な赤血球の遺伝子(遺伝子A)”のように顕性形質を発現する遺伝子を「顕性遺伝子」、”鎌状赤血球の遺伝子(遺伝子a)”のように潜性形質を発現する遺伝子を「潜性遺伝子」といいます。
遺伝子型
また、先ほどの例では、AA・Aa・aaの3通りの遺伝子の組合わせが考えられました。
このような遺伝子の組合わせのことを、遺伝子型といいます。
ホモ接合体
遺伝子型のうち、AAやaaのように、同じ対立遺伝子どうしの組合わせをもつ個体を、ホモ接合体といいます。

ヘテロ接合体
一方で、Aaのように異なる対立遺伝子どうしの組合わせをもつ個体は、ヘテロ接合体と呼ばれます。

表現型
表現型とは、「その遺伝子型をもつことで最終的にどのような形質が現われたか?」ということです。
鎌状赤血球貧血症の例でいえば、「正常な赤血球をもつ」や「鎌状の赤血球をもつ」が表現型にあたります。

まとめ
- 遺伝子
タンパク質の情報(遺伝情報)をコードしている部分 - 染色体
DNAとタンパク質(ヒストンなど)の複合体 - 遺伝子座
染色体のどの位置に遺伝子が存在しているか - 対立遺伝子
同じ遺伝子座に存在し、異なる形質を表す遺伝子- 顕性遺伝子・・・顕性形質を発現する遺伝子
- 潜性遺伝子・・・潜性形質を発現する遺伝子
- 遺伝子型
その個体がもつ対立遺伝子の組合わせのこと - 表現型
最終的に個体に現われる形質のこと