今回のキーワード:
減数分裂第一分裂・第二分裂、核相の変化、相同染色体、二価染色体
生殖細胞に特有の減数分裂の流れを、体細胞分裂と比較しながらイラストで分かりやすく解説します!
【復習】体細胞分裂(通常の細胞分裂)が不安な人は、先にこちらをチェック↓
減数分裂とは
多くの真核生物は、有性生殖によって子孫を残します。
有性生殖では、親から配偶子(生殖細胞)がつくられ、配偶子が接合(受精)することで接合子(受精卵)が作られますが、この接合子の染色体数が親と同じになるために、配偶子の染色体数は通常の半分になっています。
このように、染色体数が半分になる(2n→n)ようにして配偶子(生殖細胞)が作られる細胞分裂のことを、減数分裂といいます。

減数分裂では分裂が2回連続する
体細胞分裂(通常の細胞分裂)では、分裂期は1回でした。
ところが、減数分裂では分裂の過程が連続して2回行われ(第一分裂と第二分裂)、第一分裂と第二分裂のそれぞれに、前期・中期・後期・終期があります。

それでは、第一分裂と第二分裂をそれぞれ詳しく見ていきましょう!
第一分裂
減数分裂の第一分裂では、相同染色体が1本ずつになるように分裂します。
前期:二価染色体の形成
間期のうちに複製された染色体は、第一分裂前期から凝縮しはじめます。
体細胞分裂では、このまま染色体が赤道面に並びますが、減数分裂では相同染色体どうしが対合して、二価染色体を形成します。

中期:二価染色体が赤道面に並ぶ
中期になると、二価染色体が細胞の赤道面上に並びます。

赤道面に並んだ二価染色体の動原体には、紡錘糸が結合しています。
後期~終期:二価染色体が分かれる
後期になると、染色体が紡錘糸に引っ張られて染色体が分離します。
このとき、二価染色体が対合面で分かれます。つまり、相同染色体どうしが別々の娘細胞に入っていくことになります。
※体細胞分裂では、染色体は縦列面(コピーどうしの接着面)で分かれ、相同染色体は2本ずつ娘細胞に入っていくのでしたね。
そして、終期になると染色体はいちどほどけて、細胞質が分離します。

体細胞分裂では、終期が終わると間期に入り、ふたたびDNA複製を行いました。
しかし、減数分裂では第一分裂の後のDNA複製は行われず、そのまま第二分裂へと突入します。
第二分裂
第二分裂は、体細胞分裂と似た過程をたどります。
中期:染色体が赤道面に並ぶ
第一分裂周期でいちどほどけた染色体は、第二分裂前期でふたたび凝縮し、中期になると赤道面に並びます。
そして、染色体の動原体に紡錘糸が結合します。

後期:染色体が分離する
後期になると、染色体が縦列面(コピーどうしの接着面)で2つに分かれ、別々の娘細胞に入っていきます。(体細胞分裂と同じですね!)

終期:核膜・核小体の形成
終期になると、凝縮していた染色体はほどけ、核膜が形成されます。
そして、細胞質が分裂し、4つの娘細胞(生殖細胞)が出来上がります。

核相の変化のタイミング
減数分裂では、染色体の数(核相)が2nからnになることが特徴ですが、この核相変化のタイミングはしっかり押さえておきたいポイント。
減数分裂の過程で核相が2n→nになるのは、第一分裂の終期です。
※よく、「第二分裂の終期」に核相が変化すると勘違いされやすいので注意!

そもそも核相とは、その細胞がもつ染色体の種類の数をnとしたときに、細胞全体に含まれる染色体数がどうなっているか(2n?n?)を表したものです。
例えば、ヒトの体細胞なら23種類の染色体を2本ずつもつので、n=23として、ヒトの体細胞の核相は2nと表せます。
さて、では減数分裂において細胞の核相がどのように変化するかというと、
- 間期に染色体が複製された段階
→染色体は23種類×2本ずつ(コピーしてできた染色体は”1本”としてカウントする)
→2n - 第一分裂で相同染色体どうしが別々の細胞に分かれる
→染色体は23種類×1本ずつになる
→n - 第二分裂で染色体が縦列麺(コピーどうしの接着面)で分裂する
→染色体は23種類×1本ずつのまま
→n
ということになります。
核相の考え方は、慣れるまで少々やっかいですよね。
DNA量と核相を混同しないように、よくよく理解しましょう。
まとめ
- 減数分裂
有性生殖の生殖細胞を作るための特別な細胞分裂。 - 第一分裂の前期に、相同染色体どうしが対合して二価染色体を形成する。
- 第一分裂で、核相が2n→nに変化する。