☆今回のキーワード☆
変異・環境変異・遺伝的変異・染色体突然変異・遺伝子突然変異
変異は、DNAの変化以外にもさまざまな要因で起こります。変異の種類とそのしくみを、イラストで分かりやすく解説します!
変異とは(復習)
自然界では、同種の個体であっても、個体ごとに微妙に形質が異なることがあります。
例えばヒトでも、Aさんの目は黒色ですがBさんの目は明るい茶色だったりします。
このように、同種の個体間で形質の違いが現われることを、変異といいます。

変異の種類
変異が生じる要因はさまざまです。
その要因によって、環境変異と遺伝的変異の大きく2種類に分けられます。

環境変異
環境変異とは、持っている遺伝子は同じなのに、生まれたあとの環境の違いで形質に変化が現われる場合です。
例えば、全く同じ遺伝子を持つ植物の種子を、栄養が少ない土と栄養が多い土に植えたら、栄養が多い土に植えた方が栄養が少ない土に植えた方よりも大きく成長しますよね。

環境変異は、遺伝子の変化を伴わないので遺伝しません。
つまり、栄養が多い土に植えて育てた植物からとった種子を、また新たに植えても、その種子から生えた個体は必ずしも大きいとは限らないのです。
環境変異の研究としては、デンマークのヨハンセンが行ったインゲンマメも実験が有名です。
遺伝的変異
一方、遺伝的変異は染色体やDNAに変化が生じ、それにより形質が変化することです。
遺伝的変異は環境変異と異なり、親から子へと遺伝します。
遺伝的変異のうち、染色体に変化が生じる場合を染色体突然変異、DNAに変化が生じる場合を遺伝子突然変異といいます。

染色体突然変異
染色体突然変異は、染色体の構造が部分的に異常になったり、染色って体の数が増減したりすることによっておこります。
身近な例として、ヒトのダウン症は21番目の染色体が通常より1本多くなることで知的障害などを生じる病気で、これも染色体突然変異の1つです。
染色体突然変異のしくみについて、詳しい解説はこちら↓
遺伝子突然変異
遺伝子突然変異は、DNAの塩基配列に変化が生じることで起こる変異です。
例えば、DNAの塩基配列が置き換わる(置換)、塩基が抜ける(欠失)、逆に塩基が加わる(挿入)などがあります。
DNAの塩基配列が変わり遺伝子の発現が正常に行われなくなると、形質に影響を及ぼします。
遺伝子突然変異のしくみの詳しい解説はこちら↓(復習)
進化に影響するのは「遺伝的変異」
生物の進化は、形質が変化し、それが親から子へと受け継がれ、やがて集団内に変異が広がっていくことで起こります。
つまり、「進化=変異の蓄積」とも言えるのです。
しかし、環境変異は遺伝とは関係のない変異であり、親から子へと受け継がれないので、進化に影響しません。
進化に関わるのは、染色体やDNAに変化が起こり、親から子へと遺伝する遺伝的変異です。
まとめ
- 変異
同種の個体間に見られる形質の変化- 環境変異
生まれた後の環境の違いによって生じる変異。親から子へは受け継がれず、進化に影響しない。 - 遺伝的変化
染色体やDNAが変化することで生じる変異。親から子へと受け継がれ、進化に影響する。
- 環境変異
