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【高校生物】「遺伝子突然変異のしくみ」教科書解説!

遺伝子突然変異 高校生物

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☆今回のキーワード☆
置換・欠失・挿入・ナンセンス突然変異・ミスセンス突然変異・同義置換・フレームシフト

遺伝子突然変異はDNAの塩基配列の一部が変化すること。そのしくみ(パターン)をイラストでわかりやすく説明します!

遺伝子突然変異の3つのパターン

DNAの塩基配列が変化するパターンとしては、置換・欠失・挿入の3パターンがあります。

  • 置換・・・ある塩基が別の塩基に置き換わること
  • 欠失・・・塩基が抜けること
  • 挿入・・・塩基が新しく加わること

置換・欠失・挿入が起こると、遺伝子の発現に影響がでます。それぞれどのような影響が出るのかを、詳しく見ていきましょう。

遺伝子発現のしくみ(復習)

置換・欠失・挿入のそれぞれの影響を見る前に、まず遺伝子発現のしくみを復習しましょう。

遺伝子の発現は、DNA →(転写)→ mRNA →(翻訳)→ タンパク質 の流れで進みます(セントラルドグマ)。

セントラルドグマ

このうち、遺伝子突然変異のしくみを理解するにあたって重要なのが翻訳の部分です。

DNAの塩基配列がmRNAに写し取られると、リボソームとtRNAによって翻訳が行われます。
このとき、mRNAの塩基配列は3塩基で1つのアミノ酸を指定しています(コドン)。

コドン

ここで、DNAの塩基配列に置換・欠失・挿入のいずれかが起こると、コドンが変わってしまいます。
そのため、正常と異なる翻訳がされ、正しいタンパク質が作られなくなってしまうのです。

では、置換・欠失・挿入が起こった時のそれぞれの影響を、より詳しく見ていきましょう。

置換

塩基の置換とは、ある塩基が別の塩基に置き換わることです。
これにより、コドンが別のコドンに置き換わってしまいます。

コドンが別のコドンに置き換わった場合の影響は、次の3つのタイプが考えられます。

ミスセンス突然変異

まず1つ目が、コドンが別のアミノ酸を指定するコドンに置き換わるタイプ。
これは、ミスセンス突然変異とも呼ばれます。
★間違った(miss)意味(sense)になるということで、ミスセンス(miss sense)と覚えましょう!

例えば、もとの塩基配列がAAAだったところがCAAに置換すると、その部分のコドンで指定されるアミノ酸はリシンからグルタミンに変わります。

ミスセンス突然変異

ミスセンス突然変異で1つのアミノ酸が変わるだけでは、通常そこまで大きな影響が無い場合が多いですが、
そのアミノ酸がタンパク質の構造や機能に重要なアミノ酸だった場合は、形質に大きな影響を及ぼすこともあります(例:鎌錠赤血球貧血症)。

ナンセンス突然変異

2つ目は、コドンが終止コドンに置き換わってしまうタイプ。
これは、ナンセンス突然変とも呼ばれます。
★意味が無くなる(nonesense)から、ナンセンス!

例えば、AAAだったところがTAAになると、もともとリシンを指定していたコドンは終止コドン(UAA)になってしまいます。

ナンセンス突然変異

終止コドンができると、それより後ろの塩基配列は翻訳されなくなってしまいます。
そのため、合成されたポリペプチドは本来よりも短くなり、多くの場合で機能を持つタンパク質が作られなくなってしまいます。

ナンセンス突然変異は、形質に大きな影響を及ぼす場合が多いのです。

同義置換

置換が起こっても、ミスセンス突然変異やナンセンス突然変異のように必ずしも影響が出るわけではありません。

というのも、コドンは複数のコドンが1つのアミノ酸を重複して指定している場合があるので、置き換わったコドンがもとのコドンと同じアミノ酸を指定していることがあるからです。
(例:AAA→AAGに変化した場合、コドンが指定するアミノ酸はリシンのまま)

このように、DNAの塩基配列が置換しても、アミノ酸配列に影響を及ぼさない場合同義置換といいます。

同義置換

同義置換の場合は、合成されるポリペプチドは置換前と変わらないので、形質への影響は見られません。

欠失・挿入

続いて、塩基の欠失と挿入についてです。
欠失とはある塩基が抜けてしまうこと、逆に挿入は新たに塩基が加わることです。

フレームシフト

塩基の欠失・挿入が起こると、コドンの読み枠がずれてしまいます。
これを、フレームシフトと呼びます。
★読み枠(frame)がずれる(shift)で覚えましょう!

例えば、…TTTAAACGGGCAA…という配列があり、このときのコドンの読み枠が UUU, AAA, CGG, GCA, A… だったとしましょう。

ここでもし、4番目のTが抜けてしまったら、どうなるでしょうか?
(…TTT AACGGGCAA…)
コドンは、前から順に3塩基ずつ読んでいくので、読み枠は UUU, AAC, GGG, CAA, … に変わってしまいますね。
そうすると、欠失があった部分より後ろでアミノ酸配列も大きく変わってしまいます。

欠失

おなじように、今度は3番目のTの後ろにGが加わった場合を考えると
(…TTTGAAACGGGCA…)
読み枠が UUU, GAA, ACG, GGC, A…に変わり、アミノ酸配列も大きく変わります。

挿入

フレームシフトでは、それ以降のアミノ酸配列が大きく変わってしまったり、高確率でどこかに終止コドンが出てしまったりします。
このため、欠失・挿入によってフレームシフトが起こると形質に大きな影響を及ぼします。

まとめ

  • 遺伝子突然変異
    DNAの塩基配列が変化して、形質が変化すること。
  • 置換
    塩基の一部が別の塩基に置き換わること。
    • ミスセンス突然変異
      置換により、コドンが指定するアミノ酸が別のアミノ酸に置き換わる。
    • ナンセンス突然変異
      置換により、コドンが終止コドンに置き換わる。
    • 同義置換
      置換しても、コドンが指定するアミノ酸が変わらない。
  • 欠失・挿入
    塩基が抜けたり、新たに加わったりすること。
    • フレームシフト
      欠失・挿入により、コドンの読み枠が変わってしまう。
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