遺伝子が変化すると、形質が変化する
形質(生物の特徴)は、遺伝子が決めています。
そのため、遺伝子が変化すると、それに基づいて現れる形質にも変化が生じます。
その分かりやすい例として、鎌状赤血球貧血症を見てみましょう。
鎌状赤血球貧血症が起こるしくみ
通常、赤血球は中央がくぼんだ円盤型をしています。
しかし、鎌状赤血球貧血症の患者さんの赤血球は、鎌のような形に変化しています。

これは、赤血球の遺伝子の一部に変化が生じたために起こります。
正常な赤血球を持つ人の遺伝子と鎌状赤血球貧血症の人の遺伝子(DNAの塩基配列)を比較してみると、正常な人は20番目の塩基対がA-Tの組み合わせであるのに対し、鎌状赤血球貧血症の人はT-Aになっています。
すると、赤血球の遺伝子が発現した時、正常な人ではグルタミン酸に翻訳されるところが、鎌状赤血球貧血症の人ではバリンに翻訳されてしまいます。
これにより、赤血球全体の構造が変わってしまうのです。
※タンパク質の構造はアミノ酸配列によって決まります(→参考)

遺伝子突然変異
鎌状赤血球貧血症の例でみたように、同種の生物(今回ではヒト)の個体間で異なる形質が見られることを、変異といいます。
変異が起こる原因は複数ありますが、中でもDNAの塩基配列の変化によっておこる変異は(遺伝子)突然変異と呼ばれ、生物が多様な形質を獲得し進化していくために重要な現象です。
※遺伝子突然変異のしくみについて、よりくわしい解説はこちら↓
まとめ
- 形質は遺伝子によって決まる
⇨遺伝子が変化すると、形質が変化する - 変異
同種の生物の個体間で、異なる形質が現れること - (遺伝子)突然変異
DNAの塩基配列の一部が変化することで変異が生じること