地球に初めに誕生した生物たちは、どのような生物だったのでしょうか?
ここからは3回連続で、初期の生物の進化について解説していきます!
初期の生物はどんな生物だった?
生物が活動するためには、エネルギー源となる有機物が必要です。
エネルギー源を確保する方法は、①外部の有機物を取り込む、②自分で有機物を合成する、の2通り考えられます。
初期の生物が、①外部の有機物を取り込む「従属栄養生物」だったのか、②自分で有機物を合成する「独立栄養生物」だったのかは、はっきりとは分かっていません。
従属栄養生物の誕生
従属栄養生物は、体内に有機物合成のための複雑なしくみを持つ必要がないので、初期の生物でも可能であったと考えられます。
当時の地球には酸素はまだ少なかったので、酸素のない環境でも生きられる嫌気性細菌でした。
しかし、生命活動が盛んでない初期の地球には、有機物はそれほど豊富ではなかったと考えられます。そのため、従属栄養生物だけが大量に反映していったとは考えにくいのです。
独立栄養生物の誕生
独立栄養生物の出現は、まず化学合成をする原核生物が誕生し、その後光合成をおこなう原核生物が誕生したと考えられています。
初期の光合成細菌は、水ではなく硫化水素を利用しており、酸素は発生しませんでした。
独立栄養生物は、周りに有機物が無くても自ら合成して生きていくことができます。
しかし、有機物の合成をおこなうためには、それだけ複雑なしくみを細胞内に持っていなければなりません。
そのため、独立栄養生物が従属栄養生物より先に誕生するというのは、少々考えにくいことでもあります。
従属栄養が先か、独立栄養が先か…
どちらが先に誕生したのか、もしくはほぼ同時期に誕生したのか、このあたりはまだよくわかっていません。
とにかく、初期の地球では嫌気性の従属栄養生物や、化学合成や酸素を放出しない光合成をおこなう独立栄養生物が誕生し、徐々に反映していったのであろう、ということは分かっています。
シアノバクテリアの出現
初期の光合成細菌は、硫化水素を利用し、酸素は放出しませんでした。
ところが、約27億年前にシアノバクテリアが誕生すると、現在の植物のような、水を利用し酸素を放出する光合成が行われるようになります。
27億年前にシアノバクテリアが誕生したとする根拠として、27億年前の地層からストロマトライトという構造が発見されたことがあります。
ストロマトライトは、シアノバクテリアの活動によって作られる独特の層状の構造です。
そして、シアノバクテリアが繁栄したことで、地球の大気組成が大きく変わることになります。
大気組成の変化
初期の地球の大気には、酸素はほとんど存在しませんでしたが、シアノバクテリアの誕生によって大気の組成が大きく変わります。
とはいえ、シアノバクテリアが誕生しても、すぐに大気中の酸素が増えたわけではありません。
シアノバクテリアによって放出された酸素は、はじめのうちは海水中の鉄イオンと結びついて酸化鉄(FeO)として海底に沈みました。
こうして海水中の鉄イオンが減少すると、いよいよ酸素が大気中に放出されるようになり、大気中の酸素がどんどん増加していきました。
またこのころ、大気中に大量に存在していた二酸化炭素は海水中のカルシウムイオンと結合したり、光合成細菌に取り込まれたりして、徐々に大気中から海水中へと移動していきました。
その結果、大気中の二酸化炭素は減少し、温室効果が弱まったため、地球全体の気温が低下しました。そして、過去に少なくとも3回(22億年前、7億年前、6.5億年前)は、地球全体が氷で覆われる全球凍結(スノーボール・アース)の状態になったと考えられています。
好気性細菌の出現
シアノバクテリアの誕生によって大気中の酸素が増えると、それまで繁栄していた嫌気性の細菌は減少し、代わりに酸素を利用して代謝を行う好気性細菌が誕生・繫栄しました。
まとめ
- 初期の生物
従属栄養生物では嫌気性細菌、
独立栄養生物では化学合成細菌や酸素を発生しない光合成細菌が誕生・繁栄した。 - シアノバクテリア
約27億年前に誕生。(ストロマトライトの発見)
酸素を発生する光合成をおこなった最初の生物。 - 大気組成の変化
①酸素が増加→好気性細菌の出現
②二酸化炭素が減少→気温の低下