地球上の生命は、一体どのようにして誕生したのでしょうか…?
原始地球の様子
できたばかりの地球(原始地球)は、今の地球と様子が大きく異なりました。
原始大気の組成
現在の大気は、窒素が約80%、酸素が約20%を締めており、二酸化炭素などの温室効果ガスや水蒸気は1%ほどしかありません。
しかし、原始地球の大気(原始大気)には酸素がほとんど無く、水蒸気H2Oや二酸化炭素CO2、窒素N2や二酸化硫黄SO2などが主成分でした。
海洋のようす
原始地球では、大気中に大量にあった水蒸気が雨となって地表に降り注ぎ、次第に海ができました。(約40億年前までに海ができたと考えられています。)
海底には、熱水噴出口と呼ばれる恒温・高圧の熱水が噴き出す穴があり、そこから噴き出す熱水にはメタンCH4や硫化水素H2S、水素H2、アンモニアNH3などが含まれていました。
熱水噴出口の付近は常に恒温・高圧のため、ふつうでは起こりにくいような化学反応も起きやすい環境です。
そのため、熱水噴出口の付近でさまざまな化学反応が起こり、有機物など複雑な物質がどんどん作られていったと考えられています。
化学進化
できたばかりの地球には、有機物などの複雑な物質はありませんでした。
ここから、現在の生物を構成している有機物はどのように作られていったのでしょうか?
原始地球の大気や海水には、有機物のもとになる無機物(水・二酸化炭素・二酸化硫黄・メタン・硫化水素・水素・アンモニアなど…)が豊富にありました。
また、原始地球は今よりもずっと高温・高圧で、宇宙からの紫外線量や雷などによる放電も多い環境でした。
このような条件下で、無機物が激しく化学反応を起こし、しだいに有機物が作られていったのではないか?と考えられています。
このように、原始地球において、高温・高圧や紫外線、放電などによって無機物から有機物が作られた過程を、化学進化と呼びます。
生命の誕生
原始地球では、化学進化によって無機物から有機物が合成されていったと考えられています。
しかし、有機物が合成されただけでは、現在の生命が誕生するにはまだまだ不十分です。
現在のような生命が誕生するためには、次の3つの性質を獲得していく必要があります。
代謝の成立
生命活動を行うには、様々な化学反応を利用してエネルギーを得る必要があります。
そのため生命が誕生するには、体内に効率よく化学反応を起こすためのタンパク質などをそろえて、「代謝」を行うしくみの成立が必要です。
膜の形成
また、膜で内外を隔て、外部の環境から独立した内部環境がつくり出される必要もあります。
膜が形成されれば、代謝に必要なタンパク質などの物質を1か所に閉じ込めることができるので、効率のよい代謝のしくみが成立する後押しになるとも考えられます。
自己複製系の確立
初期の生命っぽい構造体は、たまたまよい条件がそろうことで代謝や膜構造ができあがった、偶然の産物だと考えられます。
しかし、それだけでは生命が現在のような多様な進化を遂げることはなかったでしょう。
偶然できた生命っぽい構造体が、自己複製することで、生命っぽい構造が偶然ではなく確実につくられていくことが、生命の発展には重要でした。
現在の生物では、DNAが遺伝情報を担い、DNAの情報をもとにしてタンパク質などが合成されることによって細胞の構造をコピーし次世代に伝えていくことができます。
一方、初期の生物ではDNAはまだつくられておらず、代わりにRNAを遺伝情報として用いていたのではないか?と考えられています。
(>DNAワールドとRNAワールド)
まとめ
- 化学進化
原始地球において、高温・高圧・紫外線・放電などにより無機物から有機物が合成された過程。 - 有機物から生命が誕生するために必要な3つの要素
- 代謝の成立
- 膜の形成
- 自己複製系の確立