高校生物

【生物基礎】「ABO式血液型」教科書解説!

ABO式血液型 高校生物

※広告が含まれている場合があります※

ふだんから耳にする「血液型」。実は、血液型にも免疫が関わっています。
今回は、血液型に関する免疫反応のお話です!

ABO式血液型

血液型の中でも特になじみ深いのが、A型、B型、AB型、O型の4種類に分けられるABO式血液型です。

「A型は綺麗好き!」「B型はマイペース」など血液型の性格診断もあったりしますが、
血液型が異なると何が違うのでしょうか…?

血液型の違いによる凝集反応

実は、異なる血液型の人どうしでは、赤血球の表面の構造血しょう中に存在する抗体に違いがあります。

凝集原(赤血球表面の抗原)

赤血球の表面には、糖鎖と呼ばれる構造があります。
この赤血球表面に発現している糖鎖の種類は血液型によって異なり、その一部が抗原となります。
(この抗原を、凝集原と呼ぶこともあります。)

例えば、A型の血液型の人は、抗原Aを赤血球の表面に発現しています。
同じように、B型の人は抗原Bをもち、AB型の人は抗原AとBの両方を持ちます。
一方、O型の人は抗原となる糖鎖を発現していません。

血液型と凝集原

凝集素(抗体)

ヒトの体は、自分自身の組織には存在しないもの(異物)に対して抗体を作ります。

例えば、A型の人の体内に抗原Bはないので、A型にとって抗原Bは異物です。
そのため、A型の人は抗原Bに対する抗体βを持ちます。(この抗体を、凝集素と呼ぶこともあります)

同じように、B型の人は抗原Aに対する抗体αを、O型の人は抗体αとβの両方を持ちます。
AB型の人は、自分の体内に抗原AとBの両方があるので、これらに対する抗体は持ちません。

血液型と凝集素

赤血球の凝集反応

ヒトの体内には血液型に応じた種類の抗原を発現している赤血球と、持っていない抗原に対する抗体が存在することが分かりました。
では、例えばA型の人の血液に、B型の人の血しょうを加えるとどうなるでしょうか…?

A型の赤血球表面には、抗原Aが発現しています。
一方、B型の人の血しょうには、抗原Aに対する抗体αが存在します。

そのため、A型の人の血液にB型の人の血しょうを加えると、抗原Aに抗体αが結合し(抗原抗体反応)、A型の赤血球が集まり凝集を引き起こします。

赤血球の凝集

このように、凝集原(赤血球表面の抗原)に対する凝集素(抗体)が存在すると、血液の凝集が起こります。

血液型の判定

血液の凝集反応を利用して、血液型を判定することができます。

例えばここに、血液型が不明な血液があるとしましょう。
それに、抗体α、抗体βをそれぞれ加えてみます。

もし、抗体αにのみ凝集反応を示せば、その血液の赤血球は抗原Aのみを持つので、血液型はA型です。
一方、抗体βにのみ凝集反応を示せば、その血液型はB型と分かります。
また、抗体αとβの両方に凝集反応を示せばAB型どちらにも反応しなければO型ということになります。

血液型の判定

輸血できない血液型の組み合わせは?

体内で血液が凝集してしまうと、酸素の運搬ができません。
そのため、輸血をする場合には血液型の組み合わせを考慮しなくてはなりません。

輸血には、赤血球のみを輸血する場合や、血しょうのみを輸血する場合があります。

どの組み合わせが輸血できないのか、A型の人に輸血する場合を具体例に考えてみましょう!

A型の血液を輸血する場合

A型の人にA型の血液を輸血する場合、輸血された血液中には抗体αも抗原Bも含まれません。
よって、A型どうしであれば血液をそのまま輸血できます。

A型とA型の輸血

※ただし、血液型はABO式血液型以外にもRh式血液型などもあるため、ABO式血液型が同じだからと言って必ずしも凝集が起こらないというわけではありません。あくまでも、ABO式血液型のみを比べた場合です。

B型の血液を輸血する場合

B型の血しょう中には、抗体αが含まれています。また、赤血球には抗原Bが存在します。
よって、血しょう、赤血球どちらを輸血してもA型の人の体内で血液の凝集が起こるため、A型の人にB型の血液を輸血することはできません。

A型とB型の輸血

AB型の血液を輸血する場合

AB型の血しょう中には、抗体αも抗体βも含まれません。
そのため、AB型の血しょうをA型の人に輸血することができます。

しかし、AB型の赤血球には、抗原Bが存在します。
よって、A型の人にAB型の赤血球をを輸血すると、A型の人の体内で凝集反応が起こってしまいます。

A型とAB型の輸血

AB型の血しょう中には抗体αも抗体βも含まれないので、AB型の血しょうはどの血液型にも輸血することができます!

O型の血液を輸血する場合

O型の血しょうには、抗体αも抗体βも含まれます。
よって、A型の人にO型の血しょうを輸血することはできません。

一方、O型の赤血球には抗原Aも抗原Bも存在しません。
したがって、A型の人にO型の赤血球を輸血しても、A型がもつ抗体αと反応しないので問題ありません。

A型とO型の輸血

O型の赤血球には、抗体Aも抗体Bも存在しないので、O型の赤血球はどの血液型にも輸血することができます!

まとめ

  • ABO式血液型
    A型、B型、AB型、O型の4種類。
    それぞれが持っている凝集原凝集素の組み合わせが異なる。
  • 血液の凝集
    血液に別の方の血液を混ぜると、赤血球が凝集することがある。
ABO式血液型
タイトルとURLをコピーしました