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【生物基礎】「免疫記憶<獲得免疫⑤>」教科書解説!

免疫記憶 高校生物

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今回は、獲得免疫における「免疫記憶」についてのお話しです!

免疫記憶とは

獲得免疫では、樹状細胞からの抗原提示や抗原を直接取り込むことによって、T細胞やB細胞が活性化します。
これらの活性化したT細胞やB細胞の一部は、記憶細胞としてそのまま体内に残ります。(参考:細胞性免疫体液性免疫

記憶細胞

抗原が体内に侵入してから、T細胞やB細胞が活性化するまでには、多少なりとも時間がかかります。
例えば、初めて侵入してきた抗原に対して抗原が作られるまでには1~2週間ほどの時間がかかってしまいます。
そのため、抗体が作られる前に高熱が出たり、症状が強く出たりしてしまうのです。

しかし、活性化したT細胞やB細胞の一部が記憶細胞として残っていると、同じ抗原の2回目以降の侵入時にはT細胞やB細胞を活性化させるプロセスを省略できます。
それにより、1回目の時よりも早く、そしてより強い免疫応答を起こすことができ、症状が出なかったり、出ても軽い症状で済むようになります。

このように、活性化したT細胞やB細胞の一部が記憶細胞として残ることで、同じ抗原の2回目以降の侵入時より早く、より強い免疫反応を起こすことを、免疫記憶と言います。

免疫記憶とは

一次応答と二次応答

初めて抗原が体内に侵入してきたときに起こる免疫反応を、一次応答と言います。
一次応答では、樹状細胞からの抗原提示や抗原の直接取り込みを通じて、T細胞やB細胞を活性化させ、分化させる必要があるので、その分時間がかかります。
十分な抗原が作られるまでには、およそ1~2週間程度かかります。

一方、同じ抗原の2回目以降の侵入時には、体内にその抗原に対する活性化したT細胞やB細胞が残っているため、すぐに細胞が増殖し、免疫反応を開始できます。(数日程度)
このような、同じ抗原の2回目以降の侵入時に見られる、より早く、より強力な免疫反応二次応答といいます。

一次応答と二次応答

免疫記憶の医療への応用

私たちの体に備わっている免疫記憶のしくみは、予防接種やツベルクリン反応など、医療にも応用されています。

予防接種

毎年インフルエンザの季節になると、「ワクチン」を打ったりしますよね。
このワクチンは、弱毒化した病原体や病原体の断片が入ったものです。
これを体内に注射すると、その病原体を認識するT細胞やB細胞が活性化します。
そして、活性化したT細胞やB細胞の一部は記憶細胞として体内に残るので、次に本物の病原体(抗原)が侵入してきたときにすぐに免疫反応が起こるようになるのです。

予防接種

このように、病原体に対する抗体をあらかじめ作らせるためにワクチンを打つことを、予防接種といいます。
免疫応答のしくみを利用した医療行為のひとつです。

ツベルクリン反応

もうひとつの例として、ツベルクリン反応というものがあります。
これは、結核菌という細菌に対する免疫記憶ができているかどうかを検査するものです。

結核菌由来のタンパク質を皮下に注射すると、体内に記憶細胞がある場合はすぐに反応し、注射した部分が赤く腫れ上がります。
一方、記憶細胞が無い場合は、すぐには赤く腫れません。このような場合は、結核菌のワクチンを打って予防する必要があります。

このように、免疫記憶のしくみを利用して結核菌に対する免疫記憶が成立しているかどうかを調べるのが、ツベルクリン反応です。

ツベルクリン反応

まとめ

  • 免疫記憶
    獲得免疫で活性化したT細胞やB細胞の一部は、記憶細胞として体内に残り、同じ抗原の2回目以降の侵入時に早く、強い免疫反応を起こすこと。
  • 一次応答
    1回目の抗原の侵入で起こる免疫反応。時間がかかり、反応も強くない。
  • 二次応答
    2回目以降の抗原の侵入で起こる免疫反応。短時間の内に、強い反応を起こす。
  • 免疫記憶の応用
    ワクチンツベルクリン反応など。
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