今回は、体液性免疫の流れを詳しく見ていきましょう!
体液性免疫とは
獲得免疫には、細胞性免疫と体液性免疫があります。
細胞性免疫は、キラーT細胞やマクロファージといった細胞が、異物を排除します。
一方、体液性免疫では、抗体によって異物を排除します。
抗体は体液中に分泌されるので、体液で起こる免疫反応と考えると覚えやすいですね!
体液性免疫では、ヘルパーT細胞とB細胞が主な担い手となってはたらきます。
抗体とは
抗体とは、特定の抗原に特異的に結合する物質のことで、抗体産生細胞によってつくられます。
その本体は免疫グロブリンというタンパク質で、免疫グロブリンは図のように定常部と可変部を持っています。
抗体産生細胞ごとに、可変部の構造が変わることで、特定の抗原にのみ結合するようになります。

免疫グロブリンの可変部の多様性はどのようにして実現されているのか?
そのしくみは「生物」範囲で詳しく解説しています!興味がある人はのぞいてみましょう!↓
体液性免疫の流れ
体液性免疫は、次のような流れで起こります。
樹状細胞による抗原提示
自然免疫によって樹状細胞が異物を取り込み分解します。
すると、樹状細胞の一部がリンパ節に移動し、分解した異物の一部を細胞表面に提示します。(抗原提示)

ヘルパーT細胞の活性化
樹状細胞からの抗原提示を受けて、抗原を認識する特定のヘルパーT細胞が活性化します。

B細胞が抗原を取り込み活性化
一方、B細胞はリンパ節で抗原を直接取り込みます。
抗原を取り込んだB細胞は、活性化するとともに、その一部を細胞表面に提示します。

B細胞が抗体産生細胞へ分化
活性化したヘルパーT細胞が、抗原の一部を提示しているB細胞にはたらきかけます。
すると、B細胞は抗体産生細胞へと分化します。

抗体の産生
分化した抗体産生細胞から、抗体が分泌されます。

抗原抗体反応
抗体が抗原に結合します。これを、抗原抗体反応といいます。
抗体が抗原に結合すると、抗原の毒性が弱まったり(中和)、マクロファージに貪食されやすくなったりします。
これにより、異物が排除されます。

一部は記憶細胞として残る
活性化したヘルパーT細胞やB細胞は、一部が記憶細胞として残ります。

免疫記憶について詳しくはこちら!↓
まとめ
- 体液性免疫
抗体によって抗原を排除するしくみ。
ヘルパーT細胞とB細胞がはたらく。 - 抗体
免疫グロブリンというタンパク質からなる。
特定の抗原に結合して、抗原の毒性を弱めたり(中和)、マクロファージに貪食されやすくしたりする。 - 体液性免疫の流れ↓
