今回は、自然免疫のしくみのひとつ「炎症」についてのお話しです!
炎症とは
ケガをして菌が入ってしまうと、その部分が赤く腫れて熱をもったり、痛くなったりしてしまいますよね。
これが、炎症です。
炎症は、体に侵入してきた異物に対して食細胞(マクロファージ)が反応し、そのはたらきによって周辺の毛細血管が拡張して血流量が増えることで、その部分の皮膚が赤く腫れる現象です。

サイトカインとは
炎症に関わる物質のひとつに、サイトカインという物質があります。
これは、細胞から分泌されてまた細胞にはたらきかける物質で、はたらきかけた相手の細胞を増殖させたり、活性化させたりする物質の総称です。

炎症がおこる流れ
私たちの体は炎症を起こすことで、異物が侵入した部位に食細胞を引きよせ、その部位で自然免疫を促進します。
こうすることによって、異物が体内に広がるのをおさえることができます。
炎症の流れを詳しく見てみましょう。
マクロファージによる食作用とサイトカイン分泌
異物が侵入すると、マクロファージ(白血球の一種)が異物を取り込み、分解します(>食作用)。
すると、異物を貪食したマクロファージがサイトカインを分泌し、周辺の毛細血管にはたらきかけます。
これにより、毛細血管が拡張します。

毛細血管が拡張し、透過性が高まる
毛細血管が拡張すると、血流量が増え、血管の壁の透過性が高まります。
これにより、毛細血管から多くの血しょう成分が組織へしみ出します。

好中球や単球が集まり、自然免疫を促進
血しょうの中には、好中球や単球がたくさん含まれています。
血しょうがしみ出ることにより、異物が侵入した組織に好中球や単球が集まります。
好中球は、その食作用によって組織にある異物を取り込み、分解します。
また、単球は組織でマクロファージに分化し、さらなる食作用・サイトカイン分泌を行います。
こうして、炎症部位での自然免疫が促進されます。

まとめ
- 炎症
異物が侵入した部位が赤く腫れ、熱を帯びたり痛みを生じたりすること。 - サイトカイン
細胞から分泌され、細胞に働きかける物質の総称。 - 炎症の流れ
- マクロファージが異物を取り込み、サイトカインを放出する。
- 周辺の毛細血管が拡張し、血しょうが組織にしみ出す。
- しみ出した好中球や単球によって、組織での自然免疫が促進される。