今回は、免疫の第一段階「物理的・化学的防御」についてのお話しです!
物理的・化学的防御とは
私たちの体は、免疫によって異物から守られています。(>免疫とは)
免疫には、生まれながらにして持つ自然免疫と、生後に異物と出会うことで新たにつくられる獲得免疫(適応免疫)があります。
物理的・化学的防御は、自然免疫の1つで、皮膚や粘液によって物理的・化学的に異物の侵入を防ぐしくみです。
異物がそもそも体内に侵入しないようする、門番のような役割を果たしています。

物理的防御の例
皮膚などの物理的な構造や、咳・鼻水・涙といった物理的な方法によって異物の侵入を防ぐのが、物理的防御です。
皮膚
皮膚の表面は、ケラチンというタンパク質を含む角質層で覆われています。
ケラチンは爪や髪などをつくるタンパク質で、ケラチンが含まれていると強度が増します。
私たちの体は、ケラチンを含んだ丈夫な皮膚に覆われることによって、異物が体内に簡単に入らないようになっています。

このように、皮膚は皮膚という物理的な構造によって異物の侵入を防いでいます。
咳
咳は、「空気を吐き出す」という物理的な方法でのどに入ってきた異物を排除するしくみです。

鼻水・涙
鼻水や涙も、異物を「流す」という物理的な方法で異物を排除しています。

化学的防御の例
物理的防御に対し、「酸性」や「酵素」などによる化学的な反応を利用して異物の侵入を防ぐ仕組みを、化学的防御といいます。
弱酸性の皮膚表面
実は、皮膚の表面は、汗腺や皮脂腺から出る分泌液によって弱酸性の状態になっています。
弱酸性の皮膚の表面は、細菌にとって生き辛い環境です。
皮膚の表面を弱酸性に保つことで、皮膚の細菌の増殖を抑えることができます。

リゾチーム・ディフェンシン
汗や鼻水、唾液にはリゾチームという酵素が含まれています。
これは、細菌の細胞壁を壊す酵素です。
また、汗には細菌の細胞膜を壊すディフェンシンという物質も含まれています。
このように、汗や鼻水、唾液などには細菌を殺す作用をもった物質が含まれています。

胃酸
胃酸は、強酸性です。
そのため、胃に入ってきたほとんどの細菌は溶けてしまい、死んでしまいます。
胃酸は、強力な殺菌成分なのです!
まとめ
- 物理的・化学的防御
自然免疫の1つ。免疫の第一段階として、異物の体内への侵入を防ぐ。 - 皮膚
ケラチンを含んだ角質層によって、異物の侵入を物理的に防ぐ。物理的防御の例。 - リゾチーム
汗や鼻水、唾液に含まれ、細菌の細胞壁を破壊する酵素。化学的防御の例。 - ディフェンシン
汗に含まれ、細菌の細胞膜を破壊する。化学的防御の例。