私たちヒトでは、体のおよそ60%が水で構成されているほど、水は生命活動にとってとても大切な物質です。
体内の水分量が少なすぎても多すぎても、私たちの体にはさまざまな障害が生じます。
この水分量、実はホルモンのはたらきで常に一定になるように保たれています。
今回は、そのしくみを見ていきましょう!
体内の水分量の変化は、血圧と血液の濃度の変化で感知している
体内の水分量が変化すると、血液中の水分量も変化します。
すると、血圧や血液の濃度に変化が生じます。
例えば、体内の水分量が減少すると、血液中の水分量も減少します。
すると、血圧が低下し、血液の濃度は上昇します。
反対に、体内の水分量が増加したときは、血液中の水分量も増加します。
よって、血圧が上昇し、血液の濃度は低下します。
この血圧と血液の濃度の変化は、間脳の視床下部で常にモニターされています。
そして、視床下部で血圧と血液濃度の変化が感知されると、水分量を調節するしくみがはたらきます。
水分量を調節するホルモン:バソプレシン
水分量の調節には、バソプレシンというホルモンが関与しています。
バソプレシンは、視床下部から脳下垂体後葉に伸びる神経分泌細胞によってつくられ、脳下垂体後葉から分泌されます。
バソプレシンが血液中に分泌されると、腎臓にはたらきかけて水の再吸収を促進し、尿の量を減らします。そのため、別名抗利尿ホルモン(利尿作用を止めるホルモン)とも呼ばれます。

ここからは、水分が失われたときや多すぎるときに、水分調節のしくみがどのように働くかを具体的に見ていきましょう!
水分が少ない場合の調節
体内の水分量が少ないときには、つぎの流れで水分の再吸収が促進されます。
- 血圧低下・濃度上昇を間脳の視床下部が感知する。
- 脳下垂体後葉からのバソプレシン分泌が促進される。
- 腎臓での水の再吸収が促進される。
- 尿量が減少し、体内の水分量が増加する。

水分が過多の場合の調節
逆に、水分量が多すぎる場合は、次のように調節されます。
- 血圧上昇・濃度低下を間脳の視床下部が感知する。
- 脳下垂体からのバソプレシン分泌が抑制される。
- 腎臓での水の再吸収が抑制される。
- 尿量が増え、体内の水分量が減少する。

まとめ
- 体内の水分量は、間脳の視床下部で常にモニターされている。
- 水分量の調節を行うホルモンは、バソプレシンである。
- 体内の水分量に応じて、バソプレシンの分泌量を変化させることで尿量を調節し、体内の水分量を調節している。
