哺乳類や鳥類は、恒温動物と呼ばれ、体温を一定に保つしくみを持っています。
今回は、体温が下がったときに、どのようにして体温を上げる仕組みが働くのか見ていきましょう!
体温調節のしくみ
私たちの体の中で行われる生命活動には、たくさんの酵素が関わっています。
この酵素が安定的に働けるようにするには、私たちの体の温度は一定である方が有利になります。
哺乳類や鳥類は恒温動物と呼ばれ、体温が常に一定(37℃前後)になるように調節されています。
この体温調節には、自律神経系や内分泌系が深く関わっています。
体温を上げるしくみ
特に、体温が下がってしまうと生命活動が止まってしまう恐れがあり、とても危険。
そのため、体温が下がったときに体温を上げるしくみはとても重要です。
ここからは、体温が下がったときに、どのようなしくみが働いて体温を正常に戻しているのか、そのしくみを見ていきましょう!
間脳の視床下部が体温の低下を感知する
体温が低下すると、間脳の視床下部がその情報をキャッチします。
これが、体温調節のしくみのスタート地点です。
視床下部が体温の低下を感知すると、交感神経やホルモンの放出を介して、体温をあげるための様々なしくみがはたらきます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
体温調節に関わるホルモン(内分泌系のはたらき)
まず、視床下部が体温低下を感知すると、体温上昇にはたらくホルモンの分泌を促進します。
その主なホルモンは、チロキシン・糖質コルチコイド・アドレナリンの3つです。
これらのホルモンは、肝臓の代謝や心臓の拍動を促進して、体内の発熱量を上げるはたらきを持っています。
チロキシン
1つめのホルモンは、チロキシンです。
これは、甲状腺から分泌されるホルモンで、肝臓の代謝を促進します。
- 間脳の視床下部が体温の低下を感知する。
- 視床下部から脳下垂体前葉に、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンが分泌される。
- 脳下垂体前葉から甲状腺に、甲状腺刺激ホルモンが分泌される。
- 甲状腺から、チロキシンが分泌され、肝臓の代謝が促進される。
- 体温が上がる。

糖質コルチコイド
2つめの糖質コルチコイドは、副腎皮質から分泌され、チロキシンと同様肝臓の代謝を促進します。
- 間脳の視床下部が体温の低下を感知する。
- 視床下部から脳下垂体前葉に、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンが分泌される。
- 脳下垂体前葉から副腎皮質に、副腎皮質刺激ホルモンが分泌される。
- 副腎皮質から、糖質コルチコイドが分泌され、肝臓の代謝が促進される。
- 体温が上がる。

アドレナリン
3つ目のアドレナリンは、副腎髄質から分泌され、肝臓の代謝促進と、心臓の拍動促進にはたらきます。
- 間脳の視床下部が体温の低下を感知する。
- 交感神経が副腎髄質にはたらく。
- 副腎髄質からアドレナリンが分泌され、肝臓の代謝と心臓の拍動が促進される。
- 体温が上がる。
※チロキシンや糖質コルチコイドと異なり、アドレナリン放出は交感神経によって促進されます!

自律神経系のはたらき
体温上昇のしくみには、内分泌系を介さず、自律神経系が直接はたらきかける経路もあります。
間脳の視床下部が体温の低下を感知すると、交感神経がはたらきます。
この交感神経が、皮膚の立毛筋や毛細血管を収縮させて、体の外に熱が放散されるのを防ぎます。
また、心臓の拍動はアドレナリンによって促進されるだけでなく、交感神経によっても促進されます。

体温を上げるしくみ まとめ
- 体温の低下は、間脳の視床下部で感知される。
- 体温の低下が感知されると、内分泌系によってチロキシン・糖質コルチコイド・アドレナリンが分泌され、肝臓の代謝や心臓の拍動が促進される。
- 自律神経系では、交感神経のはたらきによって皮膚の立毛筋収縮や毛細血管の収縮、心臓の拍動が促進される。
