「ゲノム」という言葉を知っていますか?
「なんとなく聞いたことある」という人、「遺伝とかと関係ありそう…」という人もいるかもしれませんね。
今回は、ゲノムとは何かのお話です!
真核生物のゲノム
相同染色体
私たちヒトを含む真核生物は、多くの場合1つの細胞に大きさと形が同じ染色体が2本ずつあります。
この、大きさと形が同じ染色体どうしを相同染色体と言います。

なぜ同じ染色体が2つずつあるかというと、真核生物は有性生殖をおこなうためです。
父親と母親からそれぞれ1つずつ染色体をもらうことで、子の細胞には同じ染色体が2つずつ存在するようになります。

ゲノム=遺伝子の1セットのこと
ゲノムとは、遺伝子の1セットのことです。
真核生物の細胞には同じ染色体が2本ずつありますが、これらの2本には同じ遺伝子が収納されています。(例:どちらの染色体にも、酵素Aをつくる同じ遺伝子がある。)
つまり、真核細胞の場合、細胞内の全ての染色体(DNA鎖)をとってきてしまうと、遺伝子が重複している状態になってしまうのです(2セットある状態)。
よって、真核細胞の場合は相同染色体のうちどちらか1本を選んであつめたものを、遺伝子の1セットとしてゲノムと呼んでいます。

原核生物のゲノム
原核生物の場合は、通常、細胞内に2本鎖DNAを1本しか持ちません。
よって、1本のDNAに含まれる遺伝子全体がその生物のゲノムになります。

代表的なゲノムサイズ
ゲノムサイズとは、ゲノムに含まれる塩基対の数のことです。
ゲノムサイズは生物によって異なります。
代表的な生物のゲノムサイズは次の通りです。
おおよそのゲノムサイズを頭に入れておきましょう!
ゲノムサイズ (塩基対数) | |
大腸菌 | 約500万 |
ショウジョウバエ | 約1億 |
ヒト | 約30億 |
ヒトゲノム計画
ヒトのゲノム約30億塩基対の全塩基配列は、2003年にすべて解読されています。
それを達成したプロジェクトが、「ヒトゲノム計画」です。
解読された塩基配列の情報は、さまざまな分野の研究に役立っていて、
例えば、30億個の塩基対のうち、タンパク質の情報をもつ遺伝子が占める割合はたった1%ということも分かっています。(少ない…!)
その他の部分には、遺伝子の発現を調節する役割をもった塩基配列などがあることも分かってきています。
まとめ
- 相同染色体
真核細胞がもつ、大きさと形が同じ2本の染色体のこと - ゲノム
遺伝子の1セットのこと - 真核細胞のゲノム
相同染色体のうちどちらか1本をあつめたもの。
生殖細胞(卵や精子)がもつ染色体のセットと同じ。 - 原核細胞のゲノム
細胞内にある2本鎖DNAに含まれる遺伝子全体。