細胞は、分裂をして増えていきます。
今回は、細胞分裂の流れを見ていきましょう!
細胞周期と染色体の変化
細胞は、「DNAを複製→2つの細胞に均等に分配」の流れをくり返しています。
このサイクルのことを、細胞周期と言います。
細胞周期は、さらに細かく次の4つのステージに分けられます。

今回は、それぞれのステージで染色体の様子がどのように変化するかを詳しく見ていきたいと思います。
G1期(DNA合成準備期)
まず最初のステップはG1期(DNA合成準備期)です。
G1期は、名前の通りDNAの複製をするための準備段階になります。
G1期の細胞の染色体は、核の中でひも状に存在しています。
※ちなみに、染色体はDNAとタンパク質(ヒストンなど)の複合体のことですヨ!(>遺伝子、DNA、染色体の違いは?)

S期(DNA合成期)
2つ目のステップはS期(DNA合成期)です。
名前の通り、分裂に向けてDNAが複製されていく時期になります。
S期の細胞は、DNAの複製が行われている真っ最中です。
このときの染色体は、まだ核の中でひも状に存在していますが、染色体の数は増えています。

G2期(分裂準備期)
DNAの複製が終わっても、すぐ分裂するわけではなく、分裂の準備のためにいったん止まったように見える期間があります。
この状態をG2期(分裂準備期)といいます。
G2期の細胞のDNA量は完全に2倍になっていますが、まだ核の中でひも状に存在しています。

ここまでの、G1期→S期→G2期は、まとめて間期と呼ばれます。
(分裂期ではない間の時期=間期)
M期(分裂期)
さて、いよいよ細胞が分裂のとき、M期(分裂期)です。
M期の細胞では、染色体のダイナミックな移動や、細胞質の分裂がみられます。
M期では、非常に短い時間の内に、次の4段階で分裂が起こっていきます。
前期
まず、分裂期の前期になると、核膜が消えはじめ、これまで核内にひも状に存在していた染色体が凝集し始めます。
染色体がひも状のうちは顕微鏡で染色体を観察することができませんが、染色体が凝集してくると、核の中にモヤモヤ(ブツブツ)したものとして見えてきます。
また、染色体を分けるための紡錘糸もつくられ始めます。

中期
中期には、染色体が完全に凝集し、赤道面と呼ばれる平面状に並びます。
顕微鏡で観察すると、染色体が並んでいる様子が見えるようになります。
また、染色体の動原体と呼ばれる部分に紡錘糸が結合し、染色体を分ける準備が整いいます。(紡錘体の形成)

後期
後期では、紡錘糸が染色体を両極に引っ張り、染色体が2つに分かれていきます。
このとき、染色体は量・種類ともに均等に分けられます。

終期
最後のステップ、終期では、染色体の移動が完了した状態です。
染色体の移動が完了すると、まず新しい核膜がつくられ始めます。
その後、植物細胞では細胞板ができることによって、動物細胞では細胞がくびれることによって、細胞質も分かれていきます(細胞質分裂)。
細胞質が分裂する間に、凝集していた染色体もだんだんほどけていき、またひも状の状態にもどっていきます。

細胞質分裂が完全に終わり、細胞が2つに分かれたその瞬間が、M期(分裂期)の終わりであり、新しい間期(G1期→S期→G2期)のはじまりです。
細胞周期の1サイクル
M期(分裂期)が終わってできた新しい細胞(娘細胞)は、ふたたびG1期に入って新たな細胞周期に突入します。
※一部、細胞は特定のはたらきをもつ細胞に分化する細胞や、細胞分裂がストップした状態(休止期)に入る細胞もあります。
細胞周期の1サイクルをまとめると、下の図のようになります。

まとめ
細胞終期のステップと、その時々での染色体の様子をおさえましょう!
- 細胞周期
「DNAが複製→2つの新しい細胞に均等に分配」をくり返すこと - 間期
- G1期(DNA合成準備期)
DNA複製の準備段階 - S期(DNA合成期)
DNAの複製が行われる - G2期(分裂準備期)
DNA複製後の、分裂の準備段階
- G1期(DNA合成準備期)
- M期(分裂期)
- 前期
染色体の凝集・紡錘糸の形成がはじまる - 中期
染色体が赤道面に並ぶ
染色体の動原体に紡錘糸が結合し、紡錘体を形成する - 後期
染色体が両極に均等に分かれる - 終期
染色体の移動が終わり、核膜がつくられる
その後、細胞質が分裂する
- 前期