遺伝情報の発現は、①転写と②翻訳の2段階で行われます。
(>遺伝情報の発現①発現の流れ・セントラルドグマ)
今回は、②翻訳の流れを見ていきましょう!
翻訳とは
翻訳とは、mRNAの情報を読み取って、タンパク質を合成するステップのことです。
DNAの遺伝情報は、mRNAに写し取られ(転写)核の外に出てきます。
このmRNAの塩基配列には、タンパク質を作るための情報=アミノ酸の配列(並び順)がコードされています。
(>タンパク質はアミノ酸がつながってできている)
mRNAが核の外に出てくると、今度はリボソームやtRNAがmRNAの情報を読み取ってタンパク質を作ります。これが翻訳です。
(>tRNAとは)

コドン:3塩基で1つのアミノ酸を指定する
ここで、mRNAの塩基配列がどのようにしてアミノ酸の配列をコードしているかを見ていきましょう。
生体内で使われるアミノ酸には、20種類あります。
この20種類のアミノ酸からどのアミノ酸を並べるかを、mRNAの塩基配列が決めているのです。
mRNAの塩基配列は、3つの塩基で1つのアミノ酸を指定する仕組みになっています。
この、アミノ酸を指定する3つの塩基を、コドンといいます。

どのコドンがどのアミノ酸を指定するかをまとめた表を、コドン表といいます。
アミノ酸20種類に対して、塩基の組み合わせは全部で43=64通りあるので、複数のコドンが1つのアミノ酸を指定していることもあります。
また、アミノ酸を指定する以外に、翻訳の開始を合図するコドン(開始コドン)や、翻訳の終わりを合図するコドン(終止コドン)もあります。

tRNAがアミノ酸を運ぶしくみ
tRNAは、mRNAのコドンと相補的な塩基配列(アンチコドン)と、それに対応するアミノ酸をもっています。(>tRNAとは)
このtRNAがmRNAに結合することで、mRNAの塩基配列に基づいて正しいアミノ酸を並べることができます。
例)mRNAのコドンがUUCだった場合…
アンチコドンAAGとフェニルアラニン(アミノ酸)をもったtRNAがmRNAに結合する。

アミノ酸がつながってタンパク質ができる
mRNAの塩基配列に基づいてtRNAがもってきたアミノ酸は、リボソームによって隣のアミノ酸と結合します。
アミノ酸どうしの結はペプチド結合といい、アミノ酸がペプチド結合によってたくさんつながったモノをポリペプチドといいます。

ポリペプチドは1本のひも状です。これが、正しい形に折りたたまれることによって、酵素やホルモンなどとしてはたらくタンパク質になります。

「翻訳」まとめ
- 翻訳
mRNAの塩基情報から、タンパク質を合成すること - コドン
mRNAの塩基は、3つの塩基で1つのアミノ酸を指定する。この塩基配列をコドンという。 - アンチコドン
コドンと相補的な塩基配列。
tRNAはアンチコドンとそれに対応するアミノ酸をもっていて、mRNAの塩基配列に基づいて正しいアミノ酸を運んでくる。 - リボソーム
tRNAが運んできたアミノ酸どうしを結合する。
翻訳の流れをさらに詳しく学びたい人は…
リボソームの構造など、翻訳についてより詳しくは「生物」分野で解説しています!