遺伝情報の発現は、①転写と②翻訳の2段階で行われます。
(>遺伝情報の発現①発現の流れ・セントラルドグマ)
今回は、①転写の流れを見ていきましょう!
転写とは
転写とは、DNAの遺伝情報をmRNAに写し取るステップのことです。
(>mRNAとは)
遺伝情報の発現は、DNAの遺伝情報をもとに生命活動に必要なタンパク質をつくることを言いますが、
タンパク質の合成は核の外で行われるので、DNAの情報を核の外に伝えなくてはなりません。
しかし、DNAは、その固体が生きていくために必要な遺伝情報を保存している、超大事な物質です。
だからこそ、DNAは核の中に守られているのに、発現のたびに核の外にDNAを出すとなったら、DNAが傷つくリスクが上がってしまいよくありません。
そこで、DNAの情報をmRNAという別の物質にコピーして核の外に伝える、という仕組みをもっているのです。

転写の流れ
DNAは2本鎖を形成していますが、タンパク質の情報をコードしているのはその一方です。
タンパク質の情報をコードしている方をセンス鎖(意味を持つ鎖)、もう一方をアンチセンス鎖といいます。
遺伝情報が発現するとき、まず、らせん状になっている2本のDNAがほどけます。
すると、アンチセンス鎖を鋳型として、アンチセンス鎖の塩基配列に相補的な塩基配列をもつmRNAが合成されていきます。

つくられたmRNAはアンチセンス鎖と相補的な塩基配列をもちます。
つまり、mRNAの塩基配列はセンス鎖の塩基配列と同じです。
これで、mRNAにDNAの情報がコピーされたことになります!

「転写」まとめ
- 転写
DNAの遺伝情報をmRNAに写し取ること - DNAのアンチセンス鎖を鋳型として、相補的な塩基配列をもつmRNAが合成される。
- mRNAの塩基配列は、DNAのセンス鎖と同じ。
転写のしくみをさらに詳しく学びたい人は…
転写には、DNAの2重らせんをほどく酵素やmRNAを合成する酵素など、さまざまな酵素が関わっています。
転写の分子レベルでの仕組みは、「生物」分野で解説しています!