遺伝子の本体「DNA」の構造をくわしく見ていきましょう!
DNAの基本構造:ヌクレオチド
まず、DNAの基礎となるのがヌクレオチドという構造です。
これは、塩基・糖(デオキシリボース)・リン酸が1つずつ結合したできています。
(ATPの構造に少し似ていますね…!)

ちなみに、DNAは正式にはデオキシリボ核酸と呼びます。
糖がデオキシリボースなので、「デオキシリボースを持つ核酸 → デオキシリボ核酸」です!
DNAの塩基には、4種類あり、それぞれ A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という名前がついています。

ヌクレオチドは、たくさんつながって一本の長い糸(鎖)のようになっています。
(この一本の鎖の状態は、ヌクレオチド鎖とよばれます。)
そして、DNAは通常、2本のヌクレオチド鎖が塩基を向かい合わせるようにして結合した状態で核の中に存在します。

このとき、向かい合う塩基には、実は明確なルールがあります。適当に向かい合っているわけではありません!
次の項で、そのルールを詳しく見ていきましょう。
塩基の相補性
4種類の塩基、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)は、実は結合する相手が決まっています。
A(アデニン)と T(チミン)、G(グアニン)と C(シトシン)の組み合わせでのみ結合することができます。
この性質を、塩基の相補性といいます。

そして、塩基どうしが向かい合って結合しているその対のことを、塩基対とよびます。
塩基の相補性により、塩基対は
・一方が A(アデニン)ならもう片方は必ず T(チミン)
・一方が G(グアニン)ならもう片方は必ず C(シトシン)
です。
よって、DNA全体に含まれる A(アデニン)と T(チミン)の割合、G(グアニン)と C(シトシン)の割合は、等しくなります。(→シャルガフの経験則)

DNAの二重らせん構造
DNAは2本鎖を形成していますが、それは線路のように平衡に並んでいるわけではありません。
2本のヌクレオチド鎖は、互いにねじれるようにしてらせん構造を形成しています。
このような構造を二重らせん構造といいます。

二重らせん構造をしていることが分かったのは1953年、ワトソンとクリックによってそのモデルが提唱されました。
彼らは1962年にノーベル賞を受賞しています。
DNAの構造:まとめ
おさえておきたいキーワードまとめです!
- ヌクレオチド
塩基・糖(デオキシリボース)・リン酸からなる。DNAの基本構造。 - 塩基の相補性
塩基は必ず A-T, G-C の組み合わせで塩基対を形成する。 - 二重らせん構造
DNAは2本のヌクレオチド鎖が塩基部分で結合し、らせん状にねじれた構造をしている。