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【生物基礎】「酵素」教科書解説!

酵素 高校生物

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今回は、「酵素」についてのおはなしです!
呼吸や光合成と、酵素がどのようにかかわるか学びましょう。

呼吸や光合成が正常にできるのは酵素のおかげ

呼吸では、有機物が分解されたり、ATPが合成されたり・・・
光合成では、ATPが合成されたり、有機物が合成されたり・・・

呼吸や光合成では、いろいろな化学反応がかかわっています。

でも実は、これらの化学反応は本来とてもエネルギーがいる反応なんです。
通常は、もっと高温・高圧な条件が必要。

一方で、私たちの細胞は37℃前後のとても穏やかな環境です。

ではなぜ、細胞内のとても穏やかな条件でも化学反応がスムーズに進むのでしょうか…?

不思議な点は他にもあります。

細胞内は液体で満たされていて、物質は細胞内をただよっています。
・・・とすると、化学反応は細胞のどこで起こってもおかしくないように思えます。

でも実際には、細胞内においてある化学反応は特定の場所で起こるように制御されています。
呼吸に関する化学反応はミトコンドリア周辺で起こりますし、
光合成に関する化学反応は葉緑体の周辺で起こります。

もっといえば、化学反応が起こるタイミングも、適切に制御されています。

これは一体なぜでしょう?

  • 本来エネルギーが必要な化学反応が、なぜ細胞内で簡単に起こるのか?
  • なぜ細胞の特定の場所・タイミングで特定の化学反応が起こるのか?

実は、これらの問題を解決してくれるのが「酵素」なのです。

酵素の性質1:触媒作用

酵素は、触媒作用をもちます。

触媒とは、化学反応の前後でそれ自体は変化しないけれども、化学反応に必要なエネルギー(活性化エネルギー)を小さくするもののことです。

化学反応が進むためには、活性化エネルギーの山場を超える必要があります。

そして、一般的には、活性化エネルギーを超えるために加熱をしたり、圧力を高くしたりしなくてさなりません。

活性化エネルギー1

一方、酵素はその触媒作用によって、活性化エネルギー自体をグンと下げることができます。

これにより、37℃前後のままでも活性化エネルギーの山場を超えて反応することができるようになるのです。

活性化エネルギー2

つまり、酵素が触媒としてはたらくおかげで、
本来もっとエネルギーが必要な化学反応を、細胞内の穏やかな環境で進めることができる
のです。

酵素の性質2:基質特異性

酵素は、触媒として化学反応に必要なエネルギー(活性化エネルギー)を小さくしてくれますが、
どの物質に対してもその効果を発揮するわけではありません。

酵素には、触媒としての効果を発揮できる相手の物質が決まっています。
この性質のことを、基質特異性といいます。

酵素は鍵穴のような部分を持っていて、そこに合う物質(基質といいます)が来ると物質と結合して活性化エネルギーを下げることができます。

しかし、酵素の鍵穴の形に合わない物質は、酵素と結合することができません。
そのため、そのような相手に対しては酵素が触媒としてのはたらくこともないのです。

基質特異性
図)基質特異性

この基質特異性は、細胞内の化学反応がある特定の場所やタイミングでおこるために必要な性質です。

例えば、呼吸に関する反応の活性化エネルギーを下げる酵素は、ミトコンドリアに存在します。
なので、ミトコンドリアで呼吸に関する反応が起こります。

このように、酵素の出現場所を制御することで、反応が起こる場所も制御しています。

また、とある化学反応Aが起きてほしいタイミングにだけ、現れる酵素Aがあります。
酵素Aが現れた時はその反応Aが起こりますし、酵素Aがないときは反応Aも起こりません。

このようにして、酵素の出現するタイミングを制御することで反応のタイミングも制御できるようになるのです。

まとめ:酵素のはたらき

酵素は、細胞という穏やかな環境の中でも化学反応が進み、
化学反応が適切な場所・タイミングで起こるように制御するのにとても重要な役割を果たしています。

これは、酵素が次の2つの特徴をもつためです。

酵素の特徴
  1. 触媒としてはたらく
  2. 基質特異性をもつ

これらの酵素の特徴と、酵素が呼吸や光合成にどのように役立っているかをおさえておきましょう!

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